期待を裏切り続けるホルムズ海峡の「死線」

2026年2月の空爆から始まったイラン情勢は、出口の見えない混迷を深めている。
先週末、停戦合意への期待からWTI原油先物が一時急落し、市場は安堵に包まれたのも束の間、今朝にはホルムズ海峡での発砲が報じられた。
原油価格は再び95ドルを超え、期待が裏切られるたびに投資家は梯子を外されたような疲弊感を募らせている。
私は、この短期的なヘッドラインに振り回される「往復ビンタ」の局面において、無理にポジションを取る必要はないと考えている。

指数だけが語る「最高値」という名の虚像

地政学リスクが極限まで高まっているにもかかわらず、S&P 500が最高値を更新し続ける様はあまりに不可解だ。
この不自然な上昇の裏側には、個人投資家が相場から距離を置き、板(流動性)が極端に薄くなった「真空地帯」を突いた買い上げが存在する。
行き場を失った資金が一部の超大型株や防衛セクターに集中しているだけで、指数は実体経済の苦境を何一つ反映していない。
現在の最高値は、足元の砂地が崩れていることに気づかず、空を見上げて歩いているような危うさを孕んでいるのだ。

メディアが煽る「織り込み済み」という猛毒

証券会社や日経新聞は、悪材料への「耐性」がついたとして「織り込み済み」という言葉を多用している。
しかし、これこそが個人投資家を「不自然な宴」に引き止めるための、最も悪質な言葉の罠である。
市場が心理的にリスクを織り込んだと主張しても、原油高による物流コスト増や企業の利益圧迫という物理的現象を回避することはできない。
メディアが語る「耐性」とは、冷静な判断力を奪う「リスク感覚の麻痺」に他ならないのである。

疑心暗鬼の果てに訪れる「現実合わせ」の瞬間

疑心暗鬼が支配し、ある一定のサポートラインを割ったとき、相場は凄まじい「現実合わせ」のフェーズへ突入するだろう。
板が薄いなかで作られた高値は、崩れるときもまた一気に窓を開けて下がる「フラッシュ・クラッシュ」を引き起こしやすい。
楽観論にしがみつく最後の一人が買い終わった瞬間、市場は「売りの真空地帯」へと姿を変えることになる。
この不自然な相場において、あえて現金(弾薬)を温存し、嵐が過ぎ去るのを待つことは、極めて理知的な防衛本能と言える。

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#地政学リスク#投資心理#2026年市場予測

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