「反・介入」を捨てた帝国の黄昏

2026年3月に開始されたイラン攻撃「エピック・フューリー作戦」は、トランプ政権にとって最大の政治的失策となるだろう。
「新たな戦争は始めない」という公約を信じたZ世代にとって、既に250億ドルを突破した戦費と、それに伴うガソリン代の高騰は明白な「裏切り」に他ならない。
私は、この軍事介入がかつてのブッシュ政権が陥った「泥沼の覇権」の再来であり、超大国としての誇りが経済的困窮によって上書きされた瞬間であると見ている。

若者の不支持率は64%に達し、共和党支持層の内部からも亀裂が生じ始めている。
自国優先を掲げながら、国内の雇用が崩壊している最中に海の向こうで爆弾を落とす矛盾。
私は、この道徳的な正当性の喪失こそが、若者たちを「政治的な解決」から「システムそのものへの絶望」へと向かわせた主因だと考えている。

AIがロックした「社会の入り口」

若者たちが直面しているのは、戦争という外部の脅威だけではない。
2026年現在、AIの急速な普及によって、かつて新人が担当していた資料作成やコーディングといった「ジュニア職」が社会から一掃されている。
22歳から25歳の雇用が2022年比で約13%も減少した事実は、社会に入るための最初のドアがAIによって物理的にロックされたことを意味している。

企業の「AIウォッシング」によるリストラが進む中で、未経験の若者を雇って育てるという教育コストは完全に排除された。
若年層の失業率は10%を超え、もはや「普通に働いて自立する」という選択肢が消滅しつつある。
私は、この雇用崩壊を放置したまま軍事に巨額を投じる国家の姿に、日本の「失われた30年」以上の過酷な停滞の予感、あるいはデジャヴを感じざるを得ない。

システムからの離脱、地下経済への生存戦略

国家も企業も自分たちを守らないと悟った若者たちが選んだのは、皮肉にも「地下への潜行」だった。
銀行口座や税務当局の捕捉を避けた、暗号資産やギフトカードによる「裏決済」、そして信頼できるコミュニティ内での「物々交換」が新たなセーフティネットとして機能し始めている。
これは、かつてのソ連崩壊時に人々が「ダーチャ(家庭菜園)」で生き抜いたサバイバル型経済の、デジタル版と言えるだろう。

公的なシステムが機能不全に陥ったとき、地下経済はもはや「悪」ではなく、庶民が生き残るための「並行システム(パラレル・システム)」へと昇華される。
私が思うに、今起きているのは単なる政治不信ではない。
国家という大きな船から、自らボートを漕ぎ出して「自律的な経済圏」を築こうとする、強靭で孤独な個人たちの離反プロセスなのだ。
この超大国の解体は、多極化する世界における「普通の国」への転落というよりも、国家の管理を超えた「新しい生存の形」の始まりを示唆している。

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#トランプ政権#AI失業#地下経済#Z世代

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